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90cm 離れていても RFID 情報の窃盗が可能に

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セキュリティコンサルタントのフラン・ブラウン(Fran Brown)氏は、最大約 90cm 離れていても RFID バッジからデータを読み取れるハッキングツールを開発しました。RFID アクセス制御システムを使っている米国の企業のうち 80% 近くが、同氏にハッキングされた脆弱な技術を今でも採用していることを考えると、これは気になるニュースです。

RFID とは?

電波による個体識別(Radio Frequency Identification)、略して RFIDは、動物や人間の追跡から、高速道路の料金所、非接触型決済システムまで、日常的にさまざまな用途に使われています。RFID についてよく知らない人もいるでしょうが、そのような人でも知らないうちにいろいろな場面で RFID を利用している可能性は大いにあります。飼い犬にマイクロチップが埋め込まれている場合でも、勤務先の出入りに ID カードを使う場合でも、知らず知らずのうちに RFID 技術を使っているからです。

RFID は、電波を利用してデータを転送し、物体、またはその物体に関連付けられた人や動物を自動的に識別します。RFID システムは 1 つ以上のタグと 1 つの読み取り機で構成されます。タグにも読み取り機にもさまざまなバリエーションがありますが、最も一般的なタイプのタグは、このブログでもブラウン氏の研究でも取り上げている 125KHz のタグです。読み取り機は双方向の無線送受信機で、タグに向けて信号を送信してその応答を読み取ります。タグには、無線周波送信機が組み込まれており、読み取り機からの信号を受信して、格納されている情報、たとえば部外者立ち入り禁止の建物に入るときに必要な重複のないコードなどを返信します。タグはごく小さいものなので、ID カード、パスポート、DVD や CD のケースなどに取り付けることも、皮膚の下に埋め込むことさえも可能です。
 

RFID 1.png
 

長距離ハッキングツール

125KHz タグはごく一般的なもので、信号を送受信するには読み取り機からおよそ 10cm 以内の距離に置く必要があります。そのようなカードを読み取って複製するためには、カードを手に入れるか、ごく近くまで接近しなければならないので、悪用は困難です。ところがブラウン氏は、RFID 読み取り機を改良して比較的長い距離、最大約 90cm の距離からでも RFID タグを読み取れるようにしました。つまり、何者かがこの読み取り機をポケットに忍ばせ、たとえば会社の駐車場を歩き回れば、そばを通り過ぎるだけで従業員の ID バッジからデータを収集できるということです。あとは、そのバッジを複製すれば、攻撃者は元のバッジの持ち主とまったく同じアクセス権を手にすることができます。

ブラウン氏は、RFID 読み取り機をカスタマイズするために商用のほとんどの読み取り機に装着できるプリント基板を作製しました。盗み出されたタグ情報は、マイクロ SD カードに保存されます。ブラウン氏がプログラミングしたコードや、ハッキングツールとカスタマイズの詳しい情報は、ラスベガスで開催される今年の Black Hat セキュリティカンファレンスでこの研究を発表した後に公開される予定です。

このアイデア自体は以前からあったものですが、ブラウン氏は今回の手法が「実際の攻撃と理論上の攻撃の違いである」と述べています。過去の研究は理論と概念だけで組み立てられており、実際に動作するツールを伴わなかったからです。またブラウン氏は、このツールをテストしたときの成功率が 100% だったとも語っています。

最近では、125KHz タグは旧式と見なされており、格納されている情報を保護するセキュリティは講じられていません。送信されるデータは暗号化されていないので、攻撃者は受信さえできれば簡単に新しいタグを複製できることになります。タグに格納されたデータを暗号化し、タグと読み取り機との間の通信も保護する、あるいはチャレンジレスポンス認証を使うなど、新しいオプションも考案されていますが、新しい技術への移行はなかなか進んでいないのが現状です。コストも一因ですが、125KHz タグに付随するセキュリティ上のリスクを企業が認識していないという要因もあるでしょう。

ブラウン氏は、この長距離 RFID 読み取り機について、「Fortune 500 社のセキュリティ専門家を対象にした」ものだが「あらゆるペネトレーションテストツールと同様、(中略)悪用される可能性もある」と述べています。

今回の結果を踏まえると、RFID アクセス制御ソリューションを利用している場合は、既存のシステムを改めて見直して、アップグレードや、生体認証といった別のアクセス制御方式の導入を検討した方がよいでしょう。

 

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