ワンクリック詐欺とは、アダルト動画に興味のあるユーザーを誘い込み、有料サービスに登録させようとする詐欺行為のことです。このタイプの詐欺は、PC の世界では、この何年もの間よく見られるものですが、スマートフォンが普及するにつれ、スマートフォンデバイスを狙ったワンクリック詐欺も増加しています。こうした詐欺サイトには、興味のある語句で検索したり、スパムメッセージに記載されているリンクをクリックしたりしてアクセスしてしまうことが多いものです。昨年、ワンクリック詐欺を働く Android アプリの存在を確認しましたが、現在は Google Play でもこうしたアプリが見つかっています。
図 1.詐欺アプリを提供している開発元の例
図 2.ワンクリック詐欺アプリの例
こういったアプリは、インターネット検索と同じように Google Play でキーワード検索を実行すると簡単に見つかります。たとえば、(このブログの執筆時点では)アダルト動画に関連する日本語の単語を入力すると、そうしたアプリの 1 つが検索結果の上位に表示されます。大抵の場合、アプリがユーザーに要求するのは、「ネットワーク通信」許可だけです。アプリによっては、何の許可も要求しないものもあります。これは、ユーザーに詐欺アダルトサイトを開かせるように誘い、詐欺に陥れるための道具としてしか、このアプリが使われていないためです。アプリには余計な機能が付いていないので、ユーザーはアプリが安全だと誤解して、無防備に起動してしまう可能性があります。
図 3.これらの詐欺アプリで通常要求される許可
このタイプのアプリを最初に確認したのは昨年の 1 月のことですが、それよりも前に公開されていた可能性もあります。以降、さまざまな開発元から何度もアプリが公開されています。一時、多くのアプリが理由は不明ながら Google Play から削除されたものの、その数は着実に増え続けています。現在では、複数の開発元がおびただしい数のアプリを毎日公開していることが確認されています。シマンテックで確認している限り、これまで 50 以上もの開発元によって、200 個以上の詐欺アプリが公開されていますが、実際には、おそらくそれ以上の数に上るでしょう。これらのアプリは、最近 2 か月で 5,000 回以上もダウンロードされています。この「サービス」には、99,000 円請求されますが、実際に詐欺グループにお金を払ってしまった被害者の数はわかっていません。2 か月以上もこの商売を続けていることを見ると、詐欺グループにとっては、時間と手間をかけるだけの価値があるのでしょう。
図 4.詐欺アプリが開くサイトの例
図 5.動画を見ようとすると表示される登録ページ
興味深いことに、詐欺グループが関心を持っているのは、ワンクリック詐欺だけではないようです。いくつかの開発元は、出会い系サービスアプリも公開していることが確認されています。出会い系サービスがいかがわしいものとされている日本では、詐欺グループがワンクリック詐欺アプリと出会い系サービスアプリの両方に手を染めていても、特に驚きはありません。
図 6.ワンクリック詐欺アプリ(右端)と出会い系サービスアプリの両方をリリースしている開発元
シマンテックは、このブログで説明しているアプリを Android.Oneclickfraudとして検出します。アプリを探すときには、アプリがホストされている場所や見つかった場所にかかわらず、信頼できるサイトからダウンロードするようにしてください。ノートン モバイルセキュリティや Symantec Mobile Securityなどのセキュリティアプリをダウンロードして、デバイスを保護することも有効です。スマートフォンとタブレットの安全性に関する一般的なヒントについては、モバイルセキュリティの Web サイト(英語)を参照してください。
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