Android.Uractoという悪質なアプリが、感染を広げる目的で、あるいはユーザーを欺いて、ありもしないサービスの利用料金を支払わせようとしてスパム SMS メッセージを送信していることは、1 つ前のブログでお伝えしたとおりです。この攻撃について調査を進めたところ、同じ詐欺グループがさらに別のアプリをいくつも用意していることが判明しました。これまでのところ、このグループが管理していると見られるいくつかの専用ドメインに合計 10 種類のアプリがホストされていることが確認されています。ドメインのホストに使われているサーバーは、シンガポールと、米国ジョージア州に置かれているようです。この記事の執筆時点でもまだ有効になっています。
図 1. 10 種類のアプリのマーケットページ
アプリの見かけはすべて異なりますが、基本的には 3 つの亜種に分類されます。1 つ目は、デバイスの連絡先に登録されているデータを盗み出すタイプです。2 つ目は、やはり連絡先情報を盗み出しますが、それに加えて、悪質なアプリのダウンロードリンクを含む SMS メッセージをすべての連絡先に送信します。3 つ目は、連絡先情報を盗み出しつつ、被害者を欺いて偽のサービス利用料金を支払わせようとするタイプです。
アプリの見かけ上のタイプとしては、母親向けの子育て支援アプリから、ビデオゲームのエミュレータ、無料で漫画を読めるアプリ、有名人のゴシップを読めるアプリ、占いアプリ、アダルト系の動画ビューア、そしてデバイスのカメラで服が透けて見えると謳うアプリなどが存在します。
図 2. 10 種類のアプリのアイコン
現時点で、Android デバイスユーザーがこれらのサイトに誘導される経路はわかっていません。ネットを閲覧している間にこれらのサイトに行き着く場合もありますが、おそらくはスパムが使われているものと考えられます。日本では、Android の脅威をダウンロードするよう誘導されるケースの多くが、スパムを経由したものだからです。
一部のアプリは、しばらく前から出回っていたようで、アプリをホストしているサーバーのディレクトリリストを見ると、早いものは 2012 年 7 月にサーバーにホストされていました。
図 3.アプリをホストしているサーバーのディレクトリリスト
もうひとつ注目すべき点は、Android.Uracto が、現在も盛んに活動を続けている Android Maistealerや Android.Enesolutyと同じコードを共有していることです。Android.Maistealer は Android.Enesoluty のプロトタイプとして作成されたとシマンテックでは考えています。これについて詳しくは、以下のブログをお読みください。
これらの悪質なアプリは、すべて同じ詐欺グループの手で運用されているのでしょうか。それとも同じ作成者が雇われて 2 つのグループにマルウェアを提供しているのでしょうか。シマンテックは今後もこれらに関する調査を続け、最新の情報をお届けする予定です。
* 日本語版セキュリティレスポンスブログの RSS フィードを購読するには、http://www.symantec.com/connect/ja/item-feeds/blog/2261/feed/all/jaにアクセスしてください。