ワードサラダは、ベイジアンスパムフィルタを回避するためにスパマーが考案した手法です。スパマーの教科書に載るような古典的な手口ですが、この戦術も最先端のスパム対策フィルタリング技術によって、効果が激減しています。
ベイジアンポイズニングの一種であるワードサラダは、まったく無関係な単語が並んだ文字列です。ごく正常で、一般の文章でも見かけるような単語だけが使われているので、ベイジアンフィルタからすれば、ワードサラダを用いた電子メールには、正常なデータが大量にあるにすぎません。ワードサラダがよく使われるのは HTML 形式です。無意味なタグで URL が分断されているため、スパムと思しき URL をアナライザで追跡するのが困難になります。ワードサラダでは、最新ニュースや間近に迫ったイベントなど最新のキーワードを追加するのが最近の傾向です。
映画『ワイルド・スピード』シリーズへの出演で知られるポール・ウォーカーさんの逝去も、スパマーが悪用している最近の一例です。ポール・ウォーカーさんの悲報の数時間後には、「PAUL WALKER」という名前をワードサラダに使った「かんじきスパム」、つまり一撃離脱タイプのスパムが確認されています。ファンがやきもきしながら検死報告を待っていたこともあって、彼の名前は検索キーワードとしても上位を占めています。当初は、命を取り留めたという誤報も流れたほどでした。
図 1.ワードサラダで「PAUL WALKER」というキーワードを使った電子メールの本文
該当するスパムは、このワードサラダ部分を除けば、ポール・ウォーカーさんに関するニュースとはまったく無関係です。プレビューされるのは、テレビや電話、インターネットの広告スパムであり、件名は以下のとおりです。
件名: Cheap Cable-TV, Internet & Phone - Free Equipment, Premium Channels & Install(ケーブルテレビ、インターネット、電話を格安で - 機材も設置も有料チャンネルも今なら無料)
差出人: ~CABLETVSpecialS* <[name]@[domain].com>(~CABLETVSpecialS* <[名前]@[ドメイン].com>)
図 2.スパムのプレビュー
ポール・ウォーカーさんを悼む一方で、これもスパマーがスパムを拡散するためにはどんな手段もいとわないという格好の例であることを忘れないようにしてください。
ポール・ウォーカーさんに謹んで哀悼の意を表します。
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